「虹色のあした(15)」 笑いを取る時代ではない
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インターネット上に先週、ある求人広告が掲載されました。タイトルは「××ショップで働こう!とある美人社員とオカマの一日。」というもの。××は携帯電話会社の名前で、記事中の主な登場人物は男性から女性になることを望むトランスジェンダー(心と体の性が一致しない人)と、指導担当の先輩社員です。
広告は、「大した覚悟もなくオカマになった」「本物の女になりたいわ!」といった軽妙なセリフで笑いを取ろうとする内容でした。それが差別的だとして、掲載直後から批判を集めていました。
その後、広告を掲載したウェブ制作会社は記事を削除しました。「記事タイトル・本文中に不適切な表現がありました。ご不快の念をおかけしました読者の皆さまに、深くお詫び申し上げます」と謝罪文も掲載しています。
私がまず違和感を持ったのは、「オカマ」という言葉。これは男性同性愛者に対する蔑称です。広告を見かけたLGBT当事者たちは、「笑いものにするのか」「グローバル企業がするべきことではない」と厳しく指摘しています。
先日、民間団体の調査で、トランスジェンダーが就職差別に遭ったり、カミングアウトによって解雇されたりする実態が報告されました。そうした当事者を嘲笑の対象にするとは、憤りを感じます。
「オカマ」「ホモ」で笑いを取れる時代は、既に終わっていると認識すべきです。
(西日本新聞 2014年6月28日掲載/小嵒ローマ)