福岡のウエディングプランナー・麻生有花さん(後編)
前編で海外のLGBT事情から、国内における課題を指摘した麻生さん。後編では、ウエディングへの想いを熱く語ってくださいました。
【前編】みんなが「良かったね」といえる同性婚を
(2013年9月12日 福岡市内にて/聞き手:小嵒ローマ)
(お仕事道具をちょっと拝見。やはりモバイル系は欠かせませんね。)
他のカップルと区別することなく平等に
—そもそも同性婚に取り組みたいと思ったのは、どうしてですか?
麻生 若い夫婦もシニアもウエディングに関する悩みは一緒で、予算や式の内容なんです。年の差カップル、再婚カップル、色んな方がおられますし、同性カップルだってその中の一つに過ぎません。式を挙げたいというお客様の気持ちに応えたいという、とてもシンプルな動機です。異性同士だから良いとか、同性同士だから駄目とか、区別する必要はありませんよね。
これまで、基本的にご紹介を中心にウエディングのご依頼をいただいてきました。「選んでもらっている」ということを意識しているので、とにかくその方たちの思いを叶えることにこだわっています。
もし当事者の方が、「麻生さんに頼んだら、自分たちの思い描いたものができるかもしれない」と選んでくださるなら、他のカップルと区別なく平等に扱いたいし、少しでもできる限りのことをしたいと思います。
—どんなカップルでも変わりなく接したい、という気持ちを根本にお持ちなんですね。
麻生 ご契約いただいた方に対しては、家族に近い感覚で接するよう心がけています。ウエディングに関する窓口がたくさんある中で、私にご依頼いただくなんて運命的ですよね。
一連の式が無事に終わった後、利用者の方にアンケートを書いていただくんですが、「親身」「最後までサポートしてくれる」「ずっと付き添ってくれる」という感想を寄せてくださいます。
—そんな風に心を寄せてくれれば、やはり友人にも紹介したくなりますね。安心してお任せできそうです。
麻生 私が無知なのかなって、なんか悔しくなるんです。LGBTの方に対して「気持ち悪い」って言う人がいるけど、なぜそうした嫌悪感を抱くのか、私にはちょっと分からないんです。少子化に影響を与えるのではと言う意見もありますよね。もう全部反論したくなります。当事者の方にも他の方と同じように式を挙げてもらいたいし、今はセクシャリティを隠さなくちゃいけないような世の中ではないということも、感じてほしいです。
—麻生さんの考える「結婚」とは何でしょうか。
麻生 結婚には家族を作るという側面もありますが、ずっと一緒に生きているパートナーを見つけ、私はこの人と生きていきますということを大切な人にお知らせする儀式の一つと考えています。
ですから、LGBTの人だから結婚式を挙げちゃダメとか、そんな風には思いません。あくまで、生涯を一緒に過ごすパートナーを見つけましたという儀式。結婚に対する考え方は色々ありますが、単に「家族を作ること」とは思っていないんです。
同性婚を扱うことに関しては、他のメニューと同等にきちんと伝えていきたい。当事者じゃない方でも、「それなら友だちを紹介するよ」という人もいる。伝えれば共感してくれる人はたくさんいるんです。
(インタビューも終盤、だいぶリラックスしてきましたね〜。「いえーい」。)
海外でも福岡でも、さらに広げていくために
—海外展開も視野に入れているそうですね。
麻生 グアムやカリフォルニアでウエディング業を展開している方から、同性婚の現場のお話しを聞くことがあります。先日の講演会では、海外の同性婚を巡る状況が10年間で大きく変わったというお話しがありましたが、まだまだ日本とあんまり変わらないような部分もあるようです。例えばグアムだと、同性婚挙式を挙げられる会場はほとんどありません。そういった情報って、なかなか届かないですよね。
今は、現地の方の協力をいただいて同性婚が開催できる会場を手配する準備や、カメラマン、ネイリスト、ヘアメイクさんを現地に派遣するためのお手伝いなども進めています。
福岡でも同性婚が挙げられる会場を少しずつ増やしていきながら、情報発信をしていけたらいいなぁって思っています。
—その他に、取り組んでいることはありますか。
麻生 前回のインタビューに登場した熊本の方もお持ちのようですが、ISD個性心理学、実は私も勉強しているんです。お客様のことをもっと分かりたいと思っています。
そしてRainbow Soupさんには、LGBTの情報発信源としてぜひ色々やっていただきたいですね。facebookはやらないんですか?「いいね!」が増えなくても、皆さん見ているんですよね。そうした積み重ねの中で、お手伝いできることがあればいいなって思います。
LGBT関連の講演会や企画があれば、どんどん教えてください。当事者じゃない分、理解がより必要じゃないかと思っているので、たくさん知りたいですね。これからもよろしくお願いします。
—今日は心強いお話しをありがとうございました。
(大濠公園のスタバは居心地も眺めもいいので、激しくおすすめです。)