福岡のウエディングプランナー・麻生有花さん(前編)

以前、同性婚のプロジェクトに着手した熊本のウエディングプランナーの方の記事を公開したところ、多くのアクセスをいただきました。
今回は福岡の方に登場していただきます。
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(インタビューしたのは、福岡市内の憩いの場・大濠公園内にあるスターバックスカフェ)
 
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(大濠公園内には美術館や能楽堂、日本庭園まであり、日本有数の水景公園である。)
 
ウエディングプランナー・麻生有花さんは結婚式場で挙げるウエディングに限らず、パーク婚やシンプル婚など多種多様なプランを考案し、お客様目線に立ったセレモニーのあり方を常に模索してきました。
過去に当事者からのカミングアウトを受けた経験もあり、プランの一つに「同性婚」が加わるのはごく自然な流れだったようです。
(2013年9月12日 福岡市内にて/聞き手:小嵒ローマ)
 

麻生 有花 プロフィール

麻生 有花(あそう ゆか)1979年、福岡県生まれ。
ブライダルサロンDear Wedding 代表。
アパレル、ヘアメイク、ウエディングなど幅広い実務経験を経て、2009年に独立。
「お客様に満足していただくこと」「『ありがとう』をたくさんあつめること」をミッションに掲げ、福岡を拠点にウエディング、アニバーサリーのプロデュース業を展開する。
適正価格と丁寧なサポートが好評で口コミで支持を広げている。
パーク・ビーチ・自宅・クラブでのこだわり婚や、少人数・お食事会のみのシンプル婚など、多種多様なウエディングを提案するなかで、同性カップルの結婚式プロデュースにも乗り出す計画を立てている。
麻生さん_前編03
(スタバで何やらお仕事しているのが、ウエディングプランナーの麻生さん。)
 

LGBT関連の情報、生の声をもっと知りたい

 
—9月、福岡アメリカン・センター主催の「LGBT講演会」に参加してくださったんですよね。アメリカの人権団体、ヒューマン・ライツ・キャンペーンの方のお話しはとても興味深い内容でした。
麻生 2003年から2013年の10年間の間に、同性婚できる州が増えたという話しがありましたね。そうした変化を促すには「当事者の方がもっと声をあげて」とおっしゃっていたけど、日本人特有の感覚というか、バックグラウンド次第で言えない方も結構おられるはず。
有名人がカミングアウトしたらいいのでは、という話しもありましたけど…。それと、日本の企業の間でもうちょっと認識が高まるといいですよね。
小さい力かもしれませんが、LGBTの現状に関して知り始めた人たちが少しずつ取り組んでいくことも大事かなと思いました。
 
 
—企業に関して言えば、海外でLGBT向け広告展開をしていても、日本国内ではやっていないケースがありますね。
日本国内で展開してメリットがあるのかどうか、様子見のような気がしています。
麻生 講演を通じて関心が強くなったのは「教育」ですね。偏見がある大人を今からなんとかするよりも、人権問題という切り口で中高校生に向けた教育が大事だと思います。
私自身、当事者の方からカミングアウトされた経験がありごく当たり前にいる人たちという感覚がありますから、もともと偏見はありませんが、社会全体の理解度はまだまだですよね。
仕事を通じて「同性婚」というテーマが出てきたことを機に、LGBT関連の情報にとても敏感になりました。ネットで見ることだけじゃなくて、今回の講演のように生の声を聞くことが大事ですね。アメリカの話しから日本との比較もできますし。日本は何が足りないんだろうという点が見えてきて、いい機会でした。
麻生さん_前編04
(はーい、カメラ目線でお願いしまーす。「え〜、照れますね(笑)」。)
 
 
—個人的に当事者を知っているかどうかは、大きな違いでしょうね。
麻生 綺麗ごとに聞こえるかもしれませんが、同性婚は「ビジネス」とは違う視点でやりたいと思っているんです。
結婚の権利が平等かどうかというのは、人権問題やいじめ問題にも繋がっていると思います。人を平等に見ましょう、人の痛みを分かりましょう、人の考えを尊重しましょうという観点は誰もがうなずけることだと思いますが、家庭の教育の中から見直していかないといけないことだと感じています。
子どもたちで言えば、昼間は学校で過ごしているけど家に帰れば家族と過ごす時間が多い。先生や親御さんがLGBTに対して間違った認識を持っていると、子どもだって間違えてしまいますよね。
 
—その点は、熊本で性教育関係者の集まりに参加させていただいた時も、課題の一つとして話題にのぼりました。先生や親にLGBTについて正しく理解してもらうことはとても大事です。
麻生 少しずつでも自分にやれることとして、当社のHPの中で「同性婚」のプランをきちんとアピールしていきたいと考えています。そして関わる人みんなが「やってよかったね」って思えることを大事にしていきたい。お客様も業者も私たちもみんなです。それが私の一番大事にしている理念。
お客様を区別するようなことはしたくないし、間違っていないことですからきちんと伝えていきたいです。
 
——(後編へ続く)—————————————-