虹色のあした(5) 里親の新たな担い手に
前回12日付けのテーマが「同性婚」だったので、今回は「里親」に触れてみます。
今週末から「チョコレートドーナツ」という映画が全国で順次公開されます(九州では5月17日から、福岡市のKBCシネマなど)。1970年代の米国の実話を基にした作品で、母親に育児放棄されたダウン症の少年と家族のように過ごすゲイカップルが主人公。彼らの幸せは、ゲイに対する好奇の目と法律によって引き裂かれてしまいます。
一足早く東京であった試写会に参加しました。理不尽な中傷や社会的制裁と懸命に闘う主人公たちの姿に涙が止まらず…。血はつながらなくても、深い愛情で結ばれた3人に強く心を動かされました。
70年代は法と偏見に阻まれていた米国。現在は里親家庭の候補として同性カップルが広く認識され、約1万4千人の里子が同性の里親と生活をしているそうです。
欧米では実の親が育てられない子どもの半数以上が里親家庭で暮らしていますが、日本は1割のみ。厚生労働省は里親を増やしていく方針で、新たな担い手として同性カップルを推す専門家もいます。しかし、法律上の夫婦ではない同性カップルは、今のところ児童養護施設や自治体から里親と想定されていません。
愛情を必要とする子どものためにー。子育てを通じて社会の役に立ちたいと願う当事者を中心に、制度拡充を求める声が高まっています。
(西日本新聞 2014年4月19日掲載/小嵒ローマ)