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当事者の体験を聞いて「確かにそうだ」と共感(前編)

西日本新聞記者・新西 ましほさん(前編)

3月22日からスタートしている新聞コラム「虹色のあした」(毎週土曜日掲載)。

今回インタビュー記事にご登場いただくのは、まさにそのコラム枠を獲得してくださった担当者の方です。

通常の紙面でもLGBT関連の話題を積極的に取り上げてくださっていて、実にありがたい存在。

個人的な体験談から、記者としての問題意識まで、たっぷり語っていただいています。

まずは前編からどうぞ!

(2013年10月31日 福岡市内にて/聞き手:小嵒ローマ)

 

新西 ましほ プロフィール

1981年、鹿児島市生まれ。

西日本新聞社入社後、日田支局、長崎総局で勤務。

2012年より、福岡市本社の生活特報部へ。

男女共同参画、少子化、周産期医療、LGBTなど、生活に密着した多彩なテーマを手掛けている。

profile

 

留学先で出会ったセクシャルマイノリティー

 

ー新西さんが初めて当事者と出会ったのはいつですか?

2002年、大学3年生の時、1年間アメリカに留学していたんです。周りには当たり前のようにゲイの友人がいました。昔から海外ドラマが好きで、ドラマにはセクシャルマイノリティーの人物が当たり前に登場していました。留学先で友達になって、「あ、本当にいるんだ」って実感したんです。

 

ードラマを見ている時に違和感は?

それはなかったですが、ドラマに必ずセクシャルマイノリティーの登場人物がいるので、アメリカでは普通のことなんだろうなと思っていました。先生にもゲイの方がいて、「あ、先生にもいるんだ」って(笑)。

 

ー当時はどちらに住んでいたんですか?

インディアナ州の田舎町です。田舎町にあるスーパーですよ。

 

ーてっきり、サンフランシスコ辺りの話なのかと思っていました(笑)。

街の中心に大学があって人口は7万人くらい。スーパーは徒歩で行ける距離じゃありません。大学の授業では、人種や女性といったテーマと同列に、ゲイを取り扱っていましたね。当時は「LGBT」とか「セクシャルマイノリティー」ではなく、女性も男性も「ゲイ」と表現していました。

 

ー人権問題を扱うような授業ですか?

そういう特別な授業ではなく、日常の授業の中で行われていましたし、フェミニズム論などを学ぶ、ウィメンズスタディの中でも扱われていました。

 

ー留学生活を通じて、セクシャルマイノリティーに触れる機会が多かったんですね。

当時から偏見はなかったですね。ただ日本に戻って来てからは、関係する話題や人に触れる機会はなくなりました。大学のクラスの中にオープンにしている人もいないし。自分から積極的に情報にアクセスしないと、当事者になかなか会えないのが日本の現状ですね。

 

当事者の体験談から得た多くの気づき

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ー記者として初めてこのテーマを扱うきっかけになったのは?

2012年から生活特報部の配属になって、先輩社員から教えてもらったんです。先輩はLGBTをテーマにした連載を担当していた方で、私も関心を持って記事を読んでいました。

 

ー新西さんが担当した最初の記事は?

福岡で当事者支援に取り組むグループ「FRENS」の方が、久留米市の人権シンポジウムに参加するという情報をもらったので、取材しに行きました。「FRENS」が発足したことと、シンポジウムの模様を紹介する記事が最初でしたね。

その時に、当事者の方の自覚したいきさつや苦労したことを聞いたんです。留学先のゲイの友人とは、あまり深い話をしたことがありませんでした。そしてセクシャルマイノリティーの子供たちの困難さをどうやって支援していくか、ということも話していました。「確かにそうだ」と共感して、その後、FRENSさん主催の交流会にも参加したんです。

 

ー当事者や支援者の方が集まる交流会ですね。

若い方から、今の状況や学校でのカミングアウトの話などを色々と聞きました。その時「学校」という場が当事者にとってどんな環境なのか、初めて実感できました。例えば「〜さん」「〜くん」という名前の呼び方。「男らしくしなさい」「女らしくしなさい」という言い方。それで辛いをしている人がいる。

「男はこう」「女はこう」という価値観は、学校の中で作られるんだなと気がつきました。自分が学生の時は、そういうことを考えなかったですもんね。

 

ー悩んでいなければ気になりませんよね。

だから体験談を聞いて初めてハッとして。今まで自分が友達と話してきた言葉の中にも、もしかしたらその人にとっては嫌なことがあったかもしれないと。例えば「彼氏がいる」という言葉とか。それを「恋人がいる」と、言い方を変えるだけで違うんだなと。

でも、アセクシャル(無性愛者)の人にとってはどうなんだろうとか…。あれこれ考え出すと、一体どうしていいか分からなくなってきたりもして。

 

ー配慮してくれるのはありがたいですが、気にしすぎると話しづらくなりませんか。あんまり構えないでいいと思いますが…。

取材を始めた当初は、当事者を前にどう喋ったらいいんだろうと、とても気にしていました。どこまで聞いていいかもわからないので、慎重に慎重に、取材をしていましたね。

でもある時、それは違うんじゃないかなと。あんまり気にしすぎたら、本当に言いたいこと、聞きたいことが伝わらないのではと思ったんです。それ以降、取材の時に、「聞かれたくないことは答えなくてもいいですし、言いにくかったら質問を無視して流してくださっていいですから」「話したいことだけ、話してください」とお伝えするようにしています。

この姿勢はセクシャルマイノリティーの方に限らず、すべての取材対象者にいえることかもしれませんね。

 

ーどんなテーマでも、デリケートな部分はありますよね。

私は不妊治療に関する取材もしています。誰にだって聞かれたくないことはありますよね。だから取材前に「もし、嫌な思いをしたら言ってください」とお伝えしています。このやり方がベストかどうかは分かりませんが…。

 

ー100%分かった上で取材する、というのは無理ではないかと思いますよ。

知識を得たり取材を重ねながら、「これが嫌なんだろうな」というのはだんだん分かっていきます。それでも分からない部分はある。感覚とか。

 

ーむしろ「分からないから教えてください」って言っていただいた方がいいかもしれませんね。

あまり怖がってもいけないですし、お互いざっくばらんに話せる方が本音に迫れますよね。

 

——(中編へ続く)—————————————-

 

 

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