「虹色のあした(19)」 元トップ選手の告白

origin_304294181
photo credit: mtlin via photopin cc
 
「同性愛者であるということを告白できてホッとしている」。先日、競泳の元スター選手で五輪金メダリストでもあるオーストラリアのイアン・ソープさんが、カミングアウトしました。
過去の自伝では同性愛者ではないことを記していましたが、告白しなかった理由として「他人の基準で正しいとされる選手になろうとしていた」と語ったそうです。
立場は違えど、カミングアウト後の解放感は、私も経験があるのでよく分かります。女性パートナーを「彼氏」と言い換えたり、好みの男性のタイプを尋ねられたり。日常会話の中で小さな嘘が続くと、他人に心を開くのが面倒になってしまうのです。
世界が注目するスター選手ともなれば、凡人には計り知れない重圧があったでしょう。一挙手一投足が注視されるばかりか、たくましい男性像、好みの女性のタイプ、結婚観など、社会やスポンサーが期待するスター像を裏切らないよう、苦悩と葛藤の日々だったはずです。
近年、海外アスリートのカミングアウトが増えています。社会の理解が進み、性的少数者が受け入れられるようになってきたことが背景にあると思います。
日本人選手も続いてほしいところですが、日本社会の受容度はどうでしょうか。性的指向や性自認にとらわれず、彼らを支える社会であってほしいと願うばかりです。
(西日本新聞 2014年7月26日掲載/小嵒ローマ)